家賃滞納者にとってブラックリストとは具体的に何を指し、どういう影響があるのでしょうか。

ブラックリストとは?
一般に「ブラックリスト」と言われるものは、金融機関や賃貸業者が管理する未払い・事故情報のリストの俗称です。
実際に「ブラックリスト」という名前の名簿が存在するわけではなく、信用情報機関に延滞や債務不履行の情報が登録された状態や、業界内で「この人は要注意」とマークされている状態を指します。
例えば、クレジットカードやローンの延滞が続いて信用情報に事故情報が載ると、「信用情報がブラック」と表現されます。
同様に、賃貸の世界でも過去に家賃滞納やトラブルを起こした人は「ブラック扱い」されることがあります。

家賃滞納でブラックリストに載るケース
家賃滞納が原因でブラックリストに載る主なパターンは2つです。
信用情報機関のブラック
これは前章で述べたとおり、保証会社経由で信用情報に「異動情報」が記録される場合や、裁判結果による公的記録が残る場合です。

賃貸業界内のブラック
信用情報とは別に、賃貸保証会社間で共有される滞納情報があります。

また、不動産管理会社や大家さん同士の非公式な情報網で「あの物件で夜逃げした人」という噂が伝わる場合もあります。
これらは業界ブラックと言えるでしょう。
一般的に「ブラックリストに載る=今後部屋を借りられなくなるのでは?」と心配されますが、実際にはブラック情報の内容と範囲によります。

ブラックリストに載った場合の影響
賃貸契約への影響
ブラック情報があると、賃貸の入居審査で落とされる確率が上がります。
特に大手の不動産会社経由の物件や、保証会社必須の物件では要注意です。
保証会社の審査で、過去に滞納履歴があると判明した時点で審査落ちになることがあります。

金融取引への影響
信用情報ブラックの場合、クレジットカードの新規発行停止、カードローン枠の削減、スマホ端末分割購入の拒否など、生活上の様々な信用取引に支障が出ます。

社会的信用への影響
賃貸やクレジット以外には大きな影響はありませんが、例えば就職時に会社が提出させる書類で自己破産歴を書くよう求められるケースはあります(ごく一部の職種)。

ブラック情報は永続しない
ブラックリスト入りしたとしても、それは永遠ではありません。
前述した通り、信用情報は5年~10年で事故情報が消えます。
保証会社の共有データも社内規定で一定期間経過後に削除・更新されます。
従って、一度滞納でブラックになった人も、数年後にはまた賃貸を借りられたりカードを作れたりするケースがほとんどです。
実際に、「以前滞納して保証会社に迷惑をかけたけど、数年後に別の保証会社の物件で審査通った」という報告もあります。
保証会社もたくさんあり、繋がりのない会社を選べば影響は限定されます。

万一ブラックになってしまったら
すでに「ブラック」となってしまった場合、できることは限られますが以下を試みてください。
- 滞納状態の解消
まず未払いを解消しましょう。信用情報の回復もまず完済してからスタートです。 - 信用情報の開示請求
ご自身の信用情報を取り寄せ、どの情報が載っているか確認します。誤りがあれば訂正請求も可能です。 - 時間を置く
焦って何かしようとしても、信用情報は時が経たないと消えません。その間、新規借り入れを起こさずクリーンな実績を積みましょう。 - 別ルートでの賃貸確保
ブラック期間中に引っ越しが必要な場合、保証会社不要の物件や、親族所有物件に住まわせてもらう、社宅制度を利用する等、保証会社を迂回する策を検討します。

そういった制度を利用すれば、保証会社なしでも受給を条件に大家さんが貸してくれることもあります。
賃貸とブラックリストのまとめ
「ブラックリスト」という言葉に過度に怯える必要はありませんが、全く無視もできないというのが実情です。
家賃滞納は経済的信用に関わる問題でもあり、遅延が長期化すると社会的な信用まで失いかねません。
しかし、一度の失敗で人生終わりということでもありません。正しく対処し、時間を掛けて信頼を取り戻せば、再びクレジットや新生活のチャンスも巡ってきます。
肝心なのは、「滞納しないことがベスト」であるのはもちろん、仮に滞納してしまった場合も早期に問題を解消してブラック状態をできるだけ短く留めることです。

滞納2ヶ月を一つのラインと考え、それ以上は絶対伸ばさないようにしましょう。