滞納した家賃の分割払いは可能?貸主・保証会社に認めてもらう具体的方法

滞納した家賃の分割払いは可能?

家賃の滞納額が大きくなってしまうと、一度に全額を支払うのが難しい場合があります。

そんなときに考えられるのが「分割払いで支払わせてもらえないか」と交渉することです。

こちらでは、滞納家賃の分割払いを貸主や保証会社に提案する際のポイントやテクニック、注意点を解説します。

滞納した家賃の分割払い交渉は可能か?

結論から言えば、分割払いの交渉は可能ですし、実際に受け入れてもらえた例もあります。

貸主(大家さん)としても、全く回収できないよりは少しずつでも回収できた方が損失が少ないため、条件次第では分割に応じることがあります。

特に、長年住んでくれていた入居者で信頼関係があった場合や、一時的な困窮で今後の支払い見通しが立っている場合などは、分割払いの和解が成立するケースもあります。

ただし、誰にでも簡単に認められるわけではありません。

分割払いは貸主側にとってリスクでもあります。

もし分割の約束をしてもまた途中で支払いが滞れば、結局面倒が長引くだけです。

ある弁護士は「経験上、入居者から滞納分の分割支払を提案され合意しても、約束通り払われることはほとんどない」とコメントしています。

貸主がそう考えていることを踏まえ、「この人ならちゃんと払ってくれそうだ」と信用してもらう工夫が必要です。

分割払い交渉のポイント

分割払いを提案する際、以下のポイントを押さえましょう。

具体的な計画を示す

単に「分割にしてください」ではなく、「滞納○ヶ月分計○万円を、今月から毎月+○万円ずつ上乗せして△ヶ月で完済します」といった具体的なプランを提示します。

できれば書面(メールでも可)で提出すると本気度が伝わります。

できるだけ短期間で完済する

分割回数は少なければ少ないほど貸主の印象は良いです。

理想は半年以内、長くても1年以内に完済できる計画を立てましょう。

例えば「今後6ヶ月で滞納家賃を全額返済します」と約束できればベストです。

最初にまとまった額を入れる

交渉の席では、頭金的に滞納額の一部を即金で支払う用意があると有利です。

まず○万円入金しますので残りを○回で…」という形です。

貸主側も「それなら信用してみよう」という気持ちになりやすくなります。

保証人や第三者の関与

分割の約束に際し、新たに保証人をつける、または公正証書を作成するなど法的強制力を持たせると、貸主も安心材料になります。

実際「大家さんと分割支払いの交渉をしているが、なぜか印鑑証明を持ってくるよう言われた」という相談もあります。

これは公正証書化や契約書作成を念頭に置いているのかもしれません。

要は「そこまでしても払います」という覚悟を示すことが大切です。

誠意ある態度と謝罪

交渉の際は、とにかく低姿勢で誠意を示してください。

滞納に至った経緯を説明しつつ、「ご迷惑をおかけして本当に申し訳ない」という気持ちを伝えましょう。

相手も人間ですから、誠意あるお願いには心を動かされるものです。

交渉を成功させるために避けるべきこと

逆に、分割払いを申し出る際にやってはいけないこともあります。

曖昧な約束

できれば早めに払いたい」「努力します」など曖昧な表現では相手は了承しません。

必ず具体的数字と期限を示しましょう。

一方的な条件提示

分割プランを出すのは良いですが、上から目線で条件闘争のようになってはいけません。

月1万ずつしか払えませんからそれで勘弁して」はNGです。

あくまでお願いする立場であることを忘れず、「可能ならこのようにさせていただけないでしょうか」という丁寧な姿勢で。

約束の反故

分割払いの約束をした後は、絶対にその約束を破らないことが大前提です。

途中で滞れば相手の怒りと失望は計り知れません。

ある専門家は「分割での支払いに応じてもらっているのに、それを連絡もせず反故にするのはもってのほか」と述べています。

万一、約束の支払いが難しくなった場合は、必ず事前に連絡して謝罪し再交渉することです。

分割払い交渉の実例

成功例

年末に事情があり1ヶ月分滞納。管理会社に相談したら、翌月以降の家賃に+1万円上乗せで分割返済することを許してもらえた」というケースがあります。
この方は月額家賃75,000円のところ、翌月から毎月85,000円支払うことで6ヶ月で滞納分を完済する計画を受け入れてもらいました。
順調に返済していたようですが、ある月に上乗せ分が用意できず困ったとのこと。
しかしすぐ管理会社に相談し、「翌月にまとめて支払うので待ってほしい」と誠心誠意お願いしたそうです。
結果、管理会社もそれを了承し無事完済できたとのことでした。
この例からも、約束を違えそうなときは放置せずすぐ相談することの大切さがわかります。

失敗例

前述のように「滞納10ヶ月で保証会社に分割提案したが拒否され訴訟になった」ケースは、交渉がうまくいかなかった例でしょう。
滞納額が大きすぎると相手も分割ではなく一括回収・退去を優先します。
また、「分割払いを約束したのにその後も滞納が続き、結局退去になった」という事例もあります。
一度信用を得ても、守れなければ元の木阿弥です。

分割交渉が難しい場合の最終手段

どうしても貸主や保証会社が分割に応じてくれない場合、選択肢は限られます。

親族や知人から立て替え

借金してでも一括払いする覚悟があるなら、親兄弟や友人に頭を下げて借りるのも一策です。

それで退去を免れるなら安いものと考えるかどうかです。

緊急小口資金などの利用

行政や社会福祉協議会の貸付制度(緊急小口資金・総合支援資金)を利用できないか確認しましょう。

無利子で貸してもらえる場合があります。

退去の受け入れ

最悪、退去を受け入れて引っ越す代わりに滞納分を分割払いする和解を提案することも考えられます。

居住を続けることを諦めれば、相手も多少の猶予を認めてくれる可能性があります。

交渉術まとめ

滞納家賃の分割払い交渉は、「この人ならちゃんと払ってくれる」と相手に思わせられるかどうかにかかっています。

そのために、具体的な計画・誠実な態度・迅速な一部支払いが重要なポイントです。

一旦合意しても気を抜かず、完済まで計画通り履行しましょう。

完済し信頼を回復できれば、その後も住み続けることができますし、信用情報的にも「滞納→完済」と記録され次への教訓とできます。

分割払いを受け入れてもらえた場合でも、それは貸主の厚意によるものです。

感謝の気持ちを忘れず、二度と同じ過ちを繰り返さないよう家計管理に努めましょう。